1.東洋ライス株式会社とは
「東洋ライスという会社、ご存じの方いらっしゃいますか?」との問いかけに、ほとんどの方が手をあげました。さすが和歌山の会社ですね、と2時限目担当の江原先生。
ご自身は剣道歴30年、ヨーロッパでの指導経験もあるとのこと。
終始、美しい姿勢で「この会社すごい」「これほどすごいことやってる会社ってほかにはなかなか」「ちょっと自慢になってしまいますが」など、会社愛溢れるお話に引き込まれていきました。
会社設立 1961年 (昭和36年)
資本金 100,000,000円
代表取締役 雜賀 慶二(90歳現役社長)
沿 革 1961年「トーヨー撰穀機」発表
1991年「BG無洗米」発表
2005年「金芽米」発表
2015年「金芽ロウカット玄米」発表
創業以来「お米に関する総合メーカー」として、数々の技術革新を行う。
精米機器から『ごはん』まで、おコメをソフトとハードの両面から研究し続ける唯一のメーカー。
2.雜賀慶二社長について
江原さんのお話の中には、社長のお人柄が感じられるエピソード満載でした。
・自称雜賀孫一の子孫だそうです。
・現役代表取締役、最近まで月に最低2回、一人で東京出張へ。
・美味しさを追求する技術屋さん。栄養があってもおいしくなければいけない。
・経営にあまり興味なし。ずっとものばっかり考えている。
・せっかち。今すぐやれの人。
(泉大津市の市長と出会い、妊婦さんを金芽米で応援するとの話がまとまったが、予算が決まるまでの1年間、先行して泉大津の妊婦さんへお米を無償提供)
・以前は奥様に病気のデパートといわれるほどの病弱体質だった。
(一回風邪をひくと3か月は不調。新婚旅行で一番初めに立ち寄ったところは薬局など。)→当日頂いた冊子『夢ではないよ!』の中に体質改善の経緯の詳細あり
3.東洋ライス技術革新の歴史
1961年「無石米」(石抜き機)発明
米と同じ大きさの石粒の混入に悩むお米屋さんの話から発明
1991年「無洗米」発明
便利、簡単のイメージの無洗米。実は奥様との旅行中、紀淡海峡の汚れを目にし、環境問題として自身にできることはないかとの思いから発明。
とぎ汁→川・海→プランクトンの餌→赤潮など水質汚染の一要因
2005年「金芽米」発明
独自精米法により玄米の栄養価を残した。亜糊粉層が水を吸収して米粒が膨らむため、食べやすく白米よりカロリーオフ
2015年「金芽ロウカット玄米」発明 (右肩上がりの商品)
2016年「世界最高米」発明
2019年、2020年「金芽米の米粉パンケーキミックス」「金芽米の米粉丸パン」発明
2020年「金芽米エキス」発明
2021年「玄米エッセンス」発明
4.実はおコメは薬だった
昔、コメは「滋養強壮の効能を持つ漢方薬」であったが、明治時代、昭和30年以後のコメは、進化した精米法により、単なる炭水化物となってしまった。
昭和30年頃の国民1人当たりのお米の消費量は120キロ。現在は53.4キロ。
当時、日本の医療費はかなり少なかったが、お米の消費が減るのと同時に医療費は上がり、今は大体年間50兆円。
雑賀さんは米屋の会社の社長として、お米と医療費のグラフを見ながら、これは米に原因があるのではと仮説を立てて考えたそうです。
→社長自身も不健康体であったため、お米には糠が残っていた方が善いのではと自ら玄米食を始める。
→玄米・おいしくない
→7分~5分づき・食べにくい
→栄養と美味しさを求めて研究
→精米方法の試行錯誤
→自分用に実食(後の「金芽米」)
→ある朝起きたら慢性化していた鼻詰まりが治っており、生まれて初めて鼻が通る。
5.医食同源米の取り組み
本来なら、医療費削減問題に関しては国が取り組むべきことであるとの考えを持つ雑賀社長は、農水省へ出向き、金芽米の特許を譲渡するので、国民に金芽米を食べてもらうようにと交渉したそうです。
残念ながらそれは叶いませんでしたが、金芽米はシンガポールでは健康に良い食品ということで国に認定されているほどです。
現在は国防にも関係してくるということで、自衛隊の皆さんに金芽米を食べていただくような取り組みをしているとのこと。
その他、学校給食や病院の食事への導入などを進めるうち、仲間も少しずつ増えてきました。
そして去年、一つの目的に向かってみんなで協力して、できることをやろうじゃないかということで、コンソーシアムを立ち上げたとのことです。
*医食同源米によって我が国の国難を解決するためのコンソーシアム
【コンソーシアムの目的】
- 国の財政を圧迫している医療費を大幅に減らすこと
- 次代を担う子供や、出来れば妊婦の健康度を高めると共に、少子化を防ぐこと
- 認知症患者を減らすと共に、健康寿命を延長させ、介護費を減らすこと
- コメ消費量を増やし食料自給率の向上を図ること
- 休耕地を無くすと共に、コメの輸出によって海外の人々の健康長寿にも貢献すること
- コメの価値を高め、生産農家の意欲向上を図ること
最後に江原先生は、
「現在、日本の米農家は140万軒。人口減少以上に農家の高齢化により、近い将来、米農家の生産する米だけでは日本人が消費する分を支えられなくなるとの統計が出ています。
我々はこれからも、日本人の米を守っていけるような、食べていけるような企業活動と取り組みをおこなってまいりたいと思います」
と、締めくくられました。
6.授業を終えて
素晴らしい取り組みや研究熱心な雜賀社長に感動致しました。早速「金芽ロウカット玄米」をネットで購入。フワッとして白米と変わらない柔らかさで美味しくて、子供たちにも好評でした。無洗米なので手軽さと環境貢献度アップ感にも大満足です。
詳しいお米の授業、本当にありがとうございました。
(授業レポート:薄月 輝子)
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