自己紹介
立花先生は元々絵の好きな子供で芸大進学を目指していましたが、当初の夢は果たせず建設会社に就職。二十歳で建設会社を起こして独立。
その後、跡継ぎのいない三重県湯の山温泉の温泉宿を継ぎましたが、高速道路の延長で移転を求められ、そこでこのアクアイグニスの施設(ヴィソン)を作ることになりました。
VISON(ヴィソン)多気について
ヴィソン多気は三重県のほぼ真ん中に位置し、伊勢神宮や熊野古道などの観光地に近いアクセスの良い場所で、面積は約119万平方メートル、東京ドーム24個分の広大な敷地に70以上の店舗を有し、年間100万人以上の観光客を集める複合商業リゾート施設です。
ヴィソンを作るにあたって、立花先生には「どうせ作るなら思い切ったものにしたい」との考えがあり、山に囲まれた広大な敷地内に様々なこだわりを持つ施設を作っていきました。
2013年の開発当初、ここは完全な山林で高速道路だけが南北、東西に走っているところでした。
施設の建設、運営にあたっては敷地が広大でアクアイグニス1社だけではあまりに大きすぎるため、三重県創業のイオンやロート製薬、各投資会社など1000を超える企業に協力していただきました。
施設内建物のほとんどが木造建築で、伊勢神宮の式年遷宮をモデルとし、地元林業や大工さんとともにメンテナンスしながら、100年、200年続くサステナブルな施設を目指しています。
施設を一部紹介させていただきます。
薬草の町として歴史を刻んできた多気町の本草エリアの温浴施設では、三重大学とロート製薬の共同研究による72種類の薬草湯をお楽しみいただけます。
また松阪牛の生産者による精肉店の他、三重県内の漁師や海女、農家の皆さんが自ら取った新鮮な山海の幸が集まる日本最大級の産直市場。
スイーツビレッジでは、パティスリーとベーカリーショコラトリーに加え、栽培方法を研究するためのカカオハウスといちごハウスも併設されています。
醤油・みりんなど日本の発酵文化を伝えるエリアでは、製造工程を見て学び、体験やお買い物を楽しみ、さらには食の魅力を味わえる飲食店も並んでいます。
ヴィソンには世界各国の食の調理道具を集め展示するミュージアムがあり、地域産業の活性化にも取り組んでいます。
多気町とスペインのサンセバスチャン市が美食を通じた友好の証を締結したことを機に名付けられた「サンセバスチャン通り」には現地で人気のバルが並び、ショッピングも楽しめます。
隠れ家のような離れのビラ、眺めの良いテラスが自慢のメインホテル、また一棟ごとにデザインされた旅館など、旅の目的に合わせて、お好みの部屋をお選びいただけます。
農園エリアでは、持続可能な自然農法を実践し、園内のレストランでは、新鮮な野菜を使用した料理が味わえます。
木育エリアでは、人と木が育む豊かな時間をテーマに、ワークショップや森でのアクティビティを体験いただけます。
これらがSNS等で話題となって、ヴィソンだけで年間100万人を集客、周辺の菰野町の観光客も80万人から100万人に増えました。またヴィソンを拠点として、この地域のバスなどの交通網も整備され、地域にも貢献できています。
加えて、DX(デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出)にも取り組んでおり、少子高齢化の問題をデジタルで解決できないかとチャレンジしています。
これらの試みができているのはヴィソンが借地ではなく私有地のため「好きに使っていいよ」ということで、制限なく実験できたことが大きいです。例えば、自動運転レベル4の車を走らせたり、自動で移動するゴミ箱を作ったり、地域通貨を流通させたり、遠隔診療で全国8万人のドクターの診察を受けることができたりと、さまざまなことを実施しています。
「 ヴィソンは自然とともに生き、生かされていく、美しい循環を目指す場所です。
さあ、命を喜ばせましょう。」
全国各地のアクアイグニス関係施設と今後の展開
①仙台市では地元の企業と協力して、東日本大震災で被害を受けた地域で「アクアイグニス仙台」を立ち上げました。シンボルとなる温泉施設は津波タワーを兼ねた3階建ての建物です。
②淡路島の施設は国交省のPFI(公共施設の建設、維持管理、運営を民間で行う)制度でチャレンジしたもので、海の目の前の温泉プールを目玉に淡路島のいろいろな業界協力でレストランを中心に運営しています。
③福井県永平寺の近くでは、九頭竜川の目の前で黒龍酒造と地元ゼネコンの協力により「オーベルジュ歓宿縁」という旅館を作っています。
このように立花先生は現在、全国各地で、ヴィソンのような70店舗を有する大きな施設、アクアイグニスという中程度の施設、オーベルジュ(地域畑の野菜とレストランと宿を兼ねた施設)型の施設、と、大中小3つのタイプを組み合わせながら、今後もご縁のある地域と共に展開していきたいと考えています。
かつらぎ町での新規プロジェクトについて
このプロジェクトの中心となっている(株)ミモナ池田社長より説明がありました。
京奈和自動車道かつらぎ西IC近くの東西(京奈和自動車道)と南北(県道那賀かつらぎ線)の道路が交差するあたりで、約5万坪の土地で開発計画を進めています。簡単な図面やゾーニングをおこなっている最中ですが、諸事情で当初の構想より1年~2年弱遅れています。
現在、各企業やかつらぎ町、多くの関係者の方々にご協力いただきながら精力的に進めています。
もちろんアクアイグニスの立花社長にも全面的に協力いただいており、地域の誇りとなる施設作りを目指しています。
授業を終えて
本日、立花先生から非常に夢のある話を聞かせていただきました。こういう施設がかつらぎ町に来るというのは非常に名誉なことです。
まだ、どういうものができるのか具体的には解りませんが、今日ご説明いただいたこだわりのコンセプトで素晴らしいものができると確信しています。
立花先生どうもありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いいたします。
〈授業レポート:前田敏孝〉
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